郊外へお出掛けなのだ


南伊豆〜白浜 前編


 最近は電車に乗っていると、土手に菜の花を見るようになった。梅もすっかり咲いて、春はすぐそこなのだ。しかし気の早い僕はもっともっと春を先取りしようと思い、南伊豆へと旅に出たのである。
 三月四日。天気予報が見事にはずれ、朝からよく晴れていた。ショルダーバッグを一つ提げて、近所のレンタカー屋に歩いた。用意されていたのは日産キューブ。初めて乗ったが中がずいぶんと広い。5ナンバー枠いっぱいにキャノピーを拡げているようだ。以前所持していたセフィーロとあんまり変わらない広さなのである。一人旅といえども車は広いほうがいいので嬉しかった。

 宿への土産を買うために、まずは麻布十番へ向かった。『豆源本店』が目当てだ。ここは目の前で“おかき”を揚げてくれるのだが、それが大変美味いのだ。しかしなぜか十時を過ぎても店が開かない。時間がもったいないのですぐそばの『たぬき煎餅』で詰め合わせ千円セットを購入。食べたことはないけど、これも美味そうである。ちなみに一の橋を入ったところの十番商店街は、平日だと路駐しても大丈夫である。十番温泉にゆっくり浸かってから更科蕎麦を手繰って戻ってこられるのである。あや、まてよ。六本木ヒルズが出来たから厳しくなったかも知らん。何しろ商店街を上っていくとヒルズに直行出来るのだ。まったくなあ、こうして町は変わっていくのであろう。まあともかく僕の約三十分の買い物のあいだは大丈夫であった。持って行かれるときって、ほんの三分でも持って行かれるからな。


 八十年代のポップミュージックを集めたCDをセットして、国道1号線を南下した。足下に暖房を入れて窓を開けて走る。やはり車はいい。運転しているだけで楽しいと感じる。カーナビが付いていたのでいじってみた。使ったことはないのだが、しかし最近の機械は難しいことはないのである。目的地を伊豆下田と入力すると音声ガイダンスが始まった。これは便利だな。しかし到着予定時刻を聞いて驚く。なんと約七時間後の夕方六時と言うのである。距離を見ると約350キロ。出発地は東京三田なのだが、そんなに遠かったかなあ? これじゃあ本日は観光なしで宿に直行ではないか。


 次へ