郊外へお出掛けなのだ


南伊豆〜白浜 後編


 車は熱海に入った。ここの海岸線は海から眺めるとイタリアのサンレモに似ているということで、熱海市とサンレモ市は姉妹都市提携を結んでいるそうだ。写真を見たことがあるのだが、建物の建て方まで本当にそっくりなのだ。また一年を通して温暖な気候なども、地中海性気候と似ているようである。そしてシュロの並ぶところを見ると今度は南国に来たかのような気分にもなるから面白い。その昔、堺正章氏が出演した映画でハワイを舞台にしたものがあったそうだが、実際にハワイには行かず、熱海でロケをしたという逸話もあるくらいなのだ。海と反対側には古びたホテルや旅館が並んでいて、なかなかにひなびた味もある。さすが一大観光地である。

 熱海を過ぎると今度は伊東。泊まったことはないけれど、「伊東に行くならハ・ト・ヤ♪」と口ずさむ。伊東市の海で有名なのは城ヶ崎海岸。リアス式海岸なので絶壁が連なっていて、その中の吊り橋を渡るのはかなり勇気がいる。一度だけ渡ったことがあるのだが、高所には強いはずだったのに途中で足がすくんでしまった。そうするともう前へも後ろへも一歩も動けなくなってしまうという恐ろしい状況に突入なのである。サスペンスドラマのロケでよくここが使われるのも素直にナットクしてしまうなあ。しかし今回はチェックインの時間が気になるので惜しくも通過。
 伊東市のもう一つの顔は伊豆高原だ。今走っている135号線も、一寸海岸沿いを離れて上り道になる。川奈ゴルフ場とか小室山などがある。高度を稼ぐにつれて、風景は高原らしいものになった。その象徴的なものはやはりどこまでも続く雑木林だろう。今は葉を全くつけていないのだが、冬の枯れた雑木林は美しい。清浄さと親しみやすい暖かみの同居があるのだ。我が国の雑木林の美しさを世界に伝えたのはロシア人ではなかったか知らん。

 とくに空腹ではなかったから走り続けていたのだが、やはり何か腹に入れておいたほうがいいと考えた。国道沿いにある飲食店をチェックしながら進む。あちこちにファストフード店やコンビニエンスストア、ファミリーレストランもあるのだがそれらは見送って、一軒の食堂を見つけて車を駐めた。席につくと誰か芸能人の色紙がたくさん飾ってある。鰺のたたき(350円)とブリの照り焼き(700円)を頼む。こうして休息してみると肩や首が凝っていたのが分かった。それなりに疲労していたようだ。熱い番茶を飲んでから車に戻った。間もなく熱川、稲取。今夜の宿泊先である下田市白浜はその先である。もうすぐだ。
 今夜は日本酒をたっぷり飲んでしまおうかな。冷やかな、澗かな。どっちもいいな。金目の煮付けがあったら最高なんだけどな。うっひゃあ!

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