Salon
サロンへようこそ!
ここには様々な業界の人が集っておしゃべりを愉しんでいきます。
どうぞごゆるりと。
〜1月半ば、晴れ、夕方。男三人、プールバーから帰ってきた。
S:ビリヤード、久しぶりでした。
K:僕もだなあ。三人で集まってやったのなんて、何年ぶりだろう。
S:Gさんのパワーショットすごかったですね。
G:俺は勢いで勝負だから、何事も。
S:ソフトタッチも憶えないと。優しく優しくですよ。手球が隣のテーブルまで飛んでいきましたからね。
G:Kは軽く突くの巧いよなあ。どこで憶えたの?
K:いやあ・・・。
S:最近よく吉祥寺に集まりますね。
G:そうだね。
S:一応みんなが出会った町ですね。それに我々の年代としてはやっぱり『俺達の旅』で馴染みが深いし。
G:あれ、何回か放送してるよ。今の話しとして。
K:見たことないな。
S:それはやっぱり昔のドラマのイメージが壊れるのがイヤだからでしょう。
K:いや、たまたま見てないだけ。あれは誰だっけ? 鎌田敏夫?
S:そうです。あの人、今偉くなってますよ。制作部長とか、そんなポスト。
K:『男女七人夏物語』とか、超ウレてたよなあ。
G:あれ放送してる頃だよ、俺たち知り合ったの。
S:そうですね。
K:こないだ、オールドクロウ系列にいた人の店に行ったの。独立してバーを開業してね。
S:どこにあるんですか?
K:昔の近鉄の裏のほう。そこで吉祥寺の活性化の話しになってね。もうジャズじゃ売れなくなってるけど、それじゃあどうしよう、ってみんな悩んでるらしい。
G:今の若い奴はジャズなんか聴かないよ。
K:そうなんだよね。かと言ってロックはまずい。
S:高円寺がありますからね。
K:そうそう。中央線沿線はどうしても競合する。電車に乗ればすぐだからね。
G:ジャズだってさ、阿佐ヶ谷でも荻窪でもやってるからな。
K:それでその近鉄裏のバーなんだけど、小さなカウンターの周りにCDがずらっと並んでてね。ケースに入ってないんだ。不織布っていうの? あれに入れて小さなタグ付けててね。
S:何掛けてました?
K:大体ジャズなんだけど、時々ダ・カーポなんか流れるんだね。あと八神純子なんてね。面白かったな。
G:マジ?
K:うん。とにかくアーカイブがすごくて、言えば何でも出てきそう。みんなMP3だって。
S:それでも基本はジャズですか。
K:そうなんだ。結局さ、吉祥寺はオールドクロウ系列の街なんだよ。ライブ聴くのにサムタイムで、がっちり飲むのにD-ray行って、マッキントッシュ聴くならファンキー。全部ジャズだよ。
G:他にも系列店舗あるからな。
S:店でコンピレーションアルバムとか出せばいいですね。
K:あ、その話しも出た。レーベルにいくら払うとか、そんなことまで進んでるみたい。でも中身が決まってない。
G:ジャズでいいと思うけどね、俺は。ジャズ知らなくても「大人の雰囲気だ」なんて喜ぶ奴いるよ。
K:その大人の店がどんどんなくなってる。子供がカクテル作ってるんだから。
S:昔はバーに行くときはちょっと緊張しましたね。
K:そういう体験ができないのは可哀想だと思うなあ。
G:今の若い奴は礼儀を知らないのが多い。それは学校がどうとか親がどうっていうことよりも、バーに頑張って背伸びして通ったりしないからなんだよ。大人の作法を学ぶのにバーほどいいところはないんだから。
S:そんなことするより居酒屋に行くでしょうね。
K:僕は自分のこととして、大人の店がなくなっていくのが困るんだ。吉祥寺にしたって今の若い世代に合わせてしまったから、もう昔の店じゃなくなった。一体どこで飲めばいいんだろうって思うことがある。
G:他の街はどうだろ。銀座とか六本木とか。
S:っていうか、私たちそんなところで遊んだことないですね。知り合いの店に行くくらいで。
K:だよなあ。この仲間は武蔵野方面で遊んでたからな。
G:飛び越して錦糸町とか行く?
S:もう、Gさんはすぐそっちに行っちゃうんだから。
G:新しいところ開拓しないと駄目だ。ベイエリアはどう?

K:現在開拓中。とりあえず汐留かな。ハッピー・アワーズがあって、全部半額。
G:あ、いいなあ。俺らもそっちに進出するか。
K:でもね、新しい町だからまだ単色なんですよ。いいバーがあってもそのあとビリヤード行こう、って思ってもないから。カラフルではないんです。
S:ヒルズのほうがいいかもしれないですね。ちょっと歩けば昔の六本木だから。
G:そんなこと言って、全然行かないくせに。
S:ふふ、バレましたか。ちょっと言ってみたかっただけです。今度汐留行きましょう。
参考資料
日本テレビ『俺たちの旅』1975年 脚本 鎌田敏夫 主演 中村雅俊、秋野太作、田中健
TBS『男女七人夏物語』1986年 脚本 鎌田敏夫 主演 明石家さんま、大竹しのぶ
二月はじめ、夜