ここで食する!


品川『鳥一』



 港区港南2-6
 Tel 03-5460-5166(支店)
 OPEN 17:00〜23:00
 日曜定休



 再開発間もない品川駅東口で、新築ビル群の向い側にある古い雑居ビルの一画。そこに『鳥一』はある。
 左隣に同じ名前の看板を出している居酒屋があるが、こちらは支店。昼には500円代のランチなどがある大衆居酒屋だ。一方本店はというと、アルミサッシの引き戸を開けるといきなり目の前にストゥールとカウンターが迫っている。すごく狭い。七人も入れば満員である。三人以上でやってきたときには二階の座敷に上がろう。
 実はここは焼きトンがメインの店だ。すぐ近所に東京中央卸売市場の食肉工場があるので、新鮮な肉を仕入れられる。特にハツやシロなどの臓物は鮮度が命だ。美味い焼きトンを求めてあちこち探した人が、最終的にやってくるのがこの『鳥一』とも言われているのである。
 まずは多摩自慢をもらって、何を食べようかとじっくり品書きを眺める。大好きなハツ、カシラ、シロ(一本110円)を頼んだところで隣の客人Aが「今日はブタバラがあるよ、これは美味いよ」とおっしゃる。ブタバラは人気があって、いつもすぐになくなってしまうのだそうだ。迷わずそいつも注文。焼き上がるまでのあいだにママカリ(300円)をつっつく。たっぷりと盛りつけてあるのが嬉しい。僕はこいつが好きで夜更けにコンビニに行くことがよくあるのだが、ちょっとしか入ってなくて値段も高いのだ。
 それにしてもここは値段が安い。焼き物は殆どが一本110円。煮込み、冷やしトマトなどの一品料理も殆ど300円均一。多摩自慢は大きなグラスに一杯260円。ここまで安い店というのは下町に行ってもなかなかないだろう。
 焼きトンが焼き上がった。肉汁がしたたりそうなハツをガブリ。実に美味い。ブタのいい匂いが鼻から抜ける。旨みが凝縮された肉汁が口中に弾ける。見知らぬ客人Aお勧めのブタバラは甘みのある脂身がこってりしていて、これまた香りがいい。ブーちゃんの旨みはやっぱり脂だなあと思う。それに牛肉の脂とは違って、体内の脂肪を燃焼させる作用があると言われているのだ。それからシロ。これが美味い店は本当に少ない。新鮮でないと臭みがあるからだ。「ここは美味いよ」なんて言われて行ってみたところは数知れず。みんな臭かった。銀座にある有名な老舗高級店舗で食べてもやっぱり臭かったのである。しかしここのシロの美味いこと! 塩でも美味い、と言えば分かってもらえるだろうか。「やっぱり新鮮だねえ」と若旦那に声を掛けると「さっきまで煮てました」と笑っている。控えめなコメントの背景には大きな自信があることが伺える。
 今の品川は六本木ヒルズ、汐留、丸の内、日本橋などと並ぶ新しい街として認知されているが、古くは東海道沿いの品川宿。安くて旨いものを出すという江戸の文化が息づく街だ。モダンなビルの反対側にある『鳥一』で、ゆる〜く酒を飲んでみてはいかが?


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