映画館
鑑賞作品 グッバイ、レーニン!
O:これすごい映画だよ。俺、ショック受けた。素晴らしい。
K:面白かったねえ。ドイツといえばこのあいだ『9000マイルの約束』でも感動したけど、こっちはまた全然違うね。数年前に『ラン・ローラ・ラン』って売れたけど、あれもドイツだったよね。
O:そう。あれも斬新な映像だった。スピード感あってな。しかしこの『グッバイ、レーニン!』の映像はもっといいね。吊されたレーニン像のシーン、予告でさんざん見たはずだったのに、衝撃的だった。心臓を捕まれたみたいだった。彼女の前にきて彼女を見るんだよ、あの像が。
K:あそこいいシーンだったね。
O:元のストーリーがしっかり書かれているだろう。とても濃い。だから標準的な出来の映像では駄目なんだろうな。いかに息子の愛情の美しさを描いても、それだけじゃ眠くなる。この映像なら、スピード感があるし、早回しのシーンがよく出てきて面白いし。
K:これさ、監督が「母親に対する息子(アレックス)の愛情がテーマ」って言い切ってるけど、それだけじゃないよね。後半になってくると売り上げ至上主義の資本主義体制に穏やかに釘を刺すようなところもあって、あれがアレックスの理想を追う青年像とうまくダブってたよ。
O:うん。政治的なことは殆ど描いてないけど、家族の生活を追っていくことで充分説明になってるんだな。それにしてもアレックスはいい奴だよなあ。純粋なんだ。
K:そこまで母親の面倒看るか? なんて邪推が出てくる余地がないよね。家族だから、ってそれだけなんだ。でも誰でもそれが本来の姿のはずだよね。
O:音楽も良かったぜ。
K:ルコントの『髪結いの亭主』と似た雰囲気の美しい曲が繰り返し出てきたよね。あれが斬新な映像に不思議とマッチしてた。何というか、品格を与えてたな。
O:バランスだよ。あれだけの映像に対して正反対のクラッシックな曲を持ってきたんだ。そういった見極めも巧い。それからこの作品は宇宙飛行士がもう一つのテーマになっているだろ。あれが最後にちゃんと完結するのもさすがだと感じた。無意味なことを何もやってないんだ。宇宙から見るように大きな視点で見れば、東西ドイツ統合なんて小さな出来事だと言ってる。関わった人間は環境の急激な変化に対応するのに大変だったのに、そう言ってる。その先には社会主義とか資本主義とかそんなものよりもっと確かなものがあるんだと言いたいんだろうな。宇宙から見れば小さな地球で、確かなもの。それがメインテーマだな。
K:昔さ、幼なじみの奴がヒューバート・カーの曲聴いて「ドイツ人ってどうしてこんなに美しい曲作れるんだろう」って言ってたことあるんだ。僕はこの映画観ててそれを思い出したよ。斬新な映像に美学があって、スリルもあって、面白さがあって、感動がある。本当にすごい映画だったね。
参考資料
Xフィルム
『グッバイ、レーニン!』独/2003年 監督/ヴォルフガング・ベッカー 主演/ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース
東芝エンタテインメント(株)・アルシネテラン『9000マイルの約束』独/2001年 監督/ハーディ・マーティンス 主演/ベルンハルト・ベターマン、ミヒャエル・メンドゥル
『ラン・ローラ・ラン』独/1998年 監督/トム・ティクヴァ 主演/フランカ・ボテンテ、モーリッツ・ブライトプトロイ
アルシネテラン『髪結いの亭主』仏/1990年 監督/パトリス・ルコント 主演/ジャン・ロシュフォール、アンナ・ガリエナ
イノセンス
ラブ・アクチュアリー
たそがれ清兵衛
幸せになるためのイタリア語講座
ルビー&カンタン
9000マイルの約束